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 脳神経外科  不破 功 
                

 頸動脈とは、頸部にある大きな動脈のことを言います。大動脈から、総頸動脈と呼ばれる血管が分岐し、さらに内頚動脈と外頚動脈に分岐していきます(図1)。

 頸動脈は比較的浅い部位を走行しますので、超音波(エコー)検査装置を用いて、血管の状態を詳しく観察することが可能です。頸動脈の動脈硬化の状態を調べることで、全身の動脈硬化の進行度を、推測することができます。

 内頚動脈は脳を栄養する血管ですので、この動脈の内腔が狭くなると、脳梗塞がおこりやすくなります。超音波検査により、あらかじめ血管の狭窄の程度を知ることで、早期に適切な治療を行い、将来の脳梗塞の発症を予防できる可能性があります。頸動脈エコー検査は、このような目的で実施する検査です。

   

図1 頸動脈の分岐と走行

  高血圧、糖尿病、高脂血症や喫煙などで、動脈硬化が進行します。動脈の壁は、内膜、中膜、外膜から構成されていますが、内膜の細胞が傷ついたり、血液中の脂質が血管壁内へ浸透して、動脈の内壁に脂質の沈着がおこります。

この脂質を清掃するために、血液中からはマクロファージと呼ばれる細胞が血管壁に集まり、中膜からは平滑筋細胞が内膜に集合してきます。その結果、内膜や中膜が厚さを増してきます。
 
この内膜と中膜を合わせた部分(内中膜複合体)の厚さを超音波装置を用いて計測し、動脈硬化の指標としています(図2)。

 年齢によって正常値が異なりますが、1.2mm以上になると、脳卒中や狭心症などの血管の病気が発症しやすくなると言われています。
 

図2 内中膜複合体の厚さ(IMT)


 
 動脈硬化がさらに進行すると、プラークと呼ばれる血管内壁の盛り上がりが生じて、頚動脈が狭くなってきます(図3)。
 

図3 頸動脈のプラーク(進行した内壁の肥厚)



 頸動脈の内腔が50%以上に狭くなってくると、脳梗塞発症の危険性が高くなりますので、抗血小板剤(アスピリンなど)による治療を検討します。さらに重度の狭窄が生じている場合には、頸動脈ステント留置や外科的治療が必要になります。

 頸動脈エコーは、超音波を用いますので、人体への影響はもちろんありません。無症状の段階で、全身の動脈硬化の程度を推測し、血管の病気の予防に役立てる事ができる有用な検査法です。検査の予約には、脳神経外科外来の受診が必要です。