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                            腎臓内科  山本 紗友梨  

心臓は全身に血を巡らせる、胃は食物を消化する、肺では呼吸をする、などそれぞれの臓器は生きていくうえで各々大切な働きをしています。では、腎臓は体の中のどこにあって、どんな働きをしているかご存知ですか?普段はあまり意識されない、“目立たない”、そんな腎臓について今回はご紹介させていただこうと思います。

 腎臓はそら豆のような形をしており、背中側に左右に1つずつ存在しています。大きさは長さ約10〜12p、幅約5cm、厚さ約3pであり、ちょうど握りこぶしくらいでしょうか。一番よく知られている働きとしては「おしっこをつくる」ことだと思いますが、その他に「骨を丈夫に保つ」、「血圧を適切にコントロールする」、「赤血球をつくる働きをサポートして貧血を防ぐ」などの大切な役割を果たしています
 
 

@ おしっこをつくる

私たちは尿が出なくなるとどうなってしまうのでしょうか。尿の大部分は水分ですので、排泄されなければ体がどんどん水ぶくれしていきます。飲食により摂取された水分が蓄積されますので、体重は日単位で増加していき、本来は蓄積されない場所に水分が溜まります。皮膚の下に溜まれば“むくみ”になり、肺に溜まれば呼吸が苦しくなります。尿はただの水ではなく、体内の老廃物や毒素が溶け込んでいますので、尿が出ないとそれらも蓄積されることになります。毒素が溜まりすぎると体がだるい、食欲がない、吐き気がするなどの尿毒症といわれる症状を呈します。また、腎臓はミネラルのバランスも整えます。ミネラルのバランスが崩れると心臓に負担がかかり命に関わることになる可能性もあります。

 

骨を丈夫に保つ

腎臓はカルシウムとリンのバランスを整える役割を担っています。腎臓が悪くなり吸収や排泄がうまくいかなければ、カルシウムとリンのバランスは崩れます。そうするとだんだんと骨のカルシウムは減少し、骨がもろくなる非常に困った状態、すなわち骨粗鬆症となってしまうのです。進行すると、私たちの体はどうにか血中カルシウムの濃度を上昇させようとし、その結果カルシウムやリンの値が高くなりすぎ、血管の壁が石灰化し、心筋梗塞や脳卒中などの怖い病気の原因となります。

 

血圧を適切にコントロールする

 体内で生じた老廃物は、血液によって腎臓に運ばれ、濾し出され尿に溶け込んで体外に出ていきます。このような腎臓の濾し出す働きは、網の目のような糸球体と呼ばれる構造で行われます。老廃物の除去はこの網の目への圧力(血圧)によって調節されているのですが、腎症のある方は網目が詰まってしまい濾過機能が低下します。それでも何とか濾し出そうと圧力を上げること、これが高血圧の原因となります。高血圧が長く持続すると、糸球体の細い動脈に負担がかかり動脈硬化(糸球体硬化)が起き、さらに濾過機能が低下します。高血圧は体中の血管の負担になりますので、そのままにしておくと、心臓病や脳卒中のリスクとなります。

 

赤血球をつくる働きをサポートして貧血を防ぐ

腎臓は「血液をつくりなさい」と命令を出す働きもしています。貧血の原因としてよく鉄分不足を耳にされると思いますが、赤血球の材料となる鉄がいくら補充されたとしても、血液をつくるように信号が腎臓から出さなければ、いつまで経っても貧血は改善されないのです。貧血が続けば、身体がだるくなったり、心臓の負担になったりします。

 

 腎臓は“目立たない”臓器です。でもそれは生きるために必要な働きをひっそりと腎臓が行っているため、その大切さに気付かないだけかもしれません。腎臓が悪くなってしまったら、心疾患や脳卒中などの恐ろしい病気の引き金を引いてしまう可能性は多いにあるのです。

では、私たちはどのようにして腎臓を守ればよいのでしょうか。答えは日頃の生活を見直すことです。多くの腎疾患は糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因となります。きちんとした食事、運動、決められたお薬を飲み、定期健診を受ける。毎日完璧にできるとは思いません。たまには贅沢しておいしいものを食べ、運動しない日があってもいいとは思います。しかしその「たまには」をより長く楽しむ為には日頃から気を付ける必要があるのです。また、尿検査で引っかかった時には病院受診をしてみてください。どの病気にも当てはまりますが、適切な治療を早く受けることができれば、人生は大きく変わる可能性があります。是非、今日から実践していただき、楽しい毎日を送っていただきたいと思います。