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                            臨床研修医 蓑田 理彦  


 激しい暑さが続いている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、荒尾市民病院初期臨床研修医の蓑田理彦(みのだまさひこ)です。

 暑さが厳しくなり海やプールにいらっしゃる方も多いかと思います。今回は、そんな時期に流行る目の病気である流行性角結膜炎、いわゆる「はやり目」について解説させて頂きます。

 

○そもそも「角膜」、「結膜」とは?

 流行性角結膜炎という病名に入っている角膜、結膜について説明します。角膜というのは「黒目」と呼ばれている部分です。

角膜自体は黒くはなく、透明な0.5o程度の厚さの膜になっており、ここから光が目の中に入っていきます。結膜は瞼(まぶた)の裏側(眼瞼結膜といいます)と、「白目」の部分(眼球結膜といいます)とで構成される半透明の膜です。これらが細菌やウイルス、アレルギー反応などによって傷害されたものが角膜炎、結膜炎です。

 
 ○症状は?

 流行性角結膜炎では目が充血したり、目やにや涙が大量に出たり、異物感(目がゴロゴロする)を生じたりします。瞼(まぶた)が腫れ、酷い場合には目が開かなくなります。炎症が角膜にまで及ぶと角膜が濁ってしまい、数年間視力障害が残ることがあります。症状は両目に出ることが多く、片目だけ発症した場合でも数日後にもう片方の目に症状が出ることがあります。また、眼以外の症状として、耳の前の方にあるリンパ節が腫れることが多いのも特徴です

 

 

○原因は?

 アデノウイルスと呼ばれるウイルスに感染することで発症します。アデノウイルスの中にも幾つかの型がありますが、そのうちD群の8,19,37,53,54,56型、B群の3,7,11型、E群の4型が流行性角結膜炎の原因となります。なお、ウイルス感染後、8日から14日程度の潜伏期を経た後に発症します。診断にはいくつか方法がありますが、眼科の外来でよく行なわれるのが免疫クロマトグラフ法です。まず角膜、結膜を綿棒でこすり、それを抽出液に浸し(ひたし)、その液を専用のキットに垂らすと、大体5分程度でウイルスに感染しているのか否かを判定することができます。

 

○どうやって感染するの?

 接触感染と言って、病原ウイルスによって汚染されたティッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れることで感染します。従って、他の人に感染を広げないためには手洗いや消毒の徹底が重要です。タオルなど、目に触れる可能性があるものはまだ感染していない家族とは別にしたり、お風呂には最後に入るようにしたりしましょう。なお、1カ月程度は便の中にウイルスが排泄されることがあるため、症状が落ち着いてもこまめに手を洗うことが大切です。

 

○どのくらい発生するの? (要は「疫学」)

 流行性角結膜炎は、一部の医療機関(全国にある眼科のうち600か所が対象です)においてその発生状況を国に報告することになっています。2016年の1年間で、それらの医療機関から26099例が報告されています。なお、熊本県では8か所の医療機関が報告することになっており、同年に1004例が報告されています。季節でいうと8月を中心とした夏に多く見られる病気です。年齢でみると1〜5歳を中心とした子供に比較的多いですが、成人を含む幅広い年齢層に見られます。

 

○治療は?

 アデノウイルスが原因なら抗アデノウイルス薬を使えばいいじゃないか、と言いたくなりますが、残念ながらそのような物は現時点では存在しません。従って、治療は対症療法となります。抗炎症作用がある薬剤を点眼したり、角膜に炎症や濁りが発生している場合はステロイド剤の点眼を行なったりします。アデノウイルスのみならず細菌も感染していると疑われる場合には抗菌薬の点眼も追加されます。

 

○もしかかってしまったら..? 

 この病気は学校保健安全法という法律によって第三種学校感染症とされています。第三種学校感染症には「飛沫感染(咳やくしゃみで放出される、ウイルスが含まれた飛沫[しぶき]を吸い込むことで感染すること)はしないものの、集団においては流行を広げる可能性が高い感染症」が指定されています。学校保健安全法により、流行性角結膜炎にかかった児童、生徒、及び教職員は、医師が感染の恐れがなくなったと判断するまで出席停止となります。感染力が非常に強い病気ですので、社会人であっても可能であれば休みを取ることが望ましいです。