「事前要望書」とは、現在の医学では回復の見込みがなく、治療について自分の意思表示ができないような状態になったとき、自分にしてほしい治療を文書で伝えておくものです。
これまで、医師など医療スタッフは終末期などの治療を行うとき、患者さんのご意見やご希望をあまり聞くことなく、できる限りの高度の医療技術を駆使して患者さんの延命に専心してきた面も否定できません。また、患者さんの側でも、自分自身に対する治療であるにもかかわらず「医師におまかせする」と考えておられる面もありました。
しかし近年、医療環境、社会環境、および個人の価値観の変化を含め、医療を取り巻く環境は大きく変化し、人道的な観点からみてこのような医療の現状を見直そうという動きがあります。例えば以下のようなことです。
1)生命維持のための医療技術の著しい進歩
医療技術は著しく発達した結果、治療法の選択肢が増え、医療の現場などでは、患者さんご自身やご家族のみならず、医療スタッフも、治療について迷うことも少なくありません。
2)「他人まかせの医療」から「自分で選択する医療」への意識の変化
上に書いたように、治療は「すべて医師にまかせる」という考え方から、自分の受ける治療なので、自分にもっとふさわしい治療を選択すべきだという考え方に変わってきました。
3)高齢社会における終末期医療について関心が高まったこと
自分の人生について、最後まで自分らしく尊厳を持って全うしたいと考える人が多くなりました。
「事前要望書」は、以上の趣旨に基づいて、患者側と医療者が話し合って合意した内容を文書化するものです。「事前要望書」のある場合、主治医をはじめとする医療スタッフは文書化された要望を尊重しながら、最善と思われる治療を実施させていただきます。また「事前要望書」は提出されたあとでも、その内容をあとから変更することは自由にできます。
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