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有明地域医療研修会

経腸栄養の基礎

演者:明治乳業株式会社学術部:濱口好孝氏

はじめに経腸栄養の適応、禁忌事項、利点、欠点などの解説があり、先進諸国の栄養法の動向についてもふれられました。本邦の医療現場では、静脈栄養(IVH)が経腸栄養より広く行われていますが、欧米では経腸栄養が主たる栄養法となっているそうです。

消化管が使用されない場合には、消化管粘膜は容易に萎縮し、バリア機能の低下をまねき、バクテリアの血中への移動、内毒素の吸収という、いわゆるbacterial translocationが発生することは周知のとおりです。2001年には、日本静脈栄養学会により、栄養法の選択に関するガイドラインが策定され、静脈栄養の適応をより厳格にする方向性が打ち出されています。経腸栄養は、消化管を使用するという点で、より生理的であり、重篤な合併症のリスクのある静脈栄養の安易な使用は避けるべきだという考え方が少しずつ浸透してきているようです。現在、医療用栄養剤の市場は約1300億円で、そのうち静脈栄養剤が約800億円、経腸栄養剤が500億円程度だそうですが、今後はこの差が縮小してくるそうです。

経腸栄養剤の使用上の注意点としては、当然ですが食品ですので、細菌感染には細心の注意を払うべきであります。投与にかける時間、器具の洗浄や滅菌、栄養剤の加温や希釈、手指の接触など、感染予防の観点から、きめ細かく配慮すべきであると、具体的データを示しながら解説されました。ややコストはかかりますが、輸液バッグのような閉鎖的な投与システム(ready to hang)が、感染予防という点で推奨されてきているようです。

昨今は、職種や診療科を越えて、患者さんの栄養状態を考慮した治療・ケアを行っていこうという、「栄養支援チーム(NST)」という概念が普及し始めております。これまでの医療現場は、薬剤投与のノウハウには、かなりの力点をおいてきたように思いますが、栄養管理についても決しておろそかにすべきではないと感じ、大変有意義な講演会であったと思います。

(不破 記)